土木や建築などの建設工事において鉄筋コンクリート構造物を構築するときは、現場の状況に合わせて鉄筋を組み立て、型枠を組んで生コンクリートを打設することが多い。このとき、組み立てた鉄筋の位置や間隔が狂うと、鉄筋コンクリート構造物の強度に影響を及ぼす恐れがある。またかぶりの厚さが不足すると鉄筋が酸化し、鉄筋コンクリート構造物の強度を低下させる結果となる。しかし、施工ミス、組み立てた鉄筋への振動や衝撃、生コンクリートを打設する際に作用する圧力などによって鉄筋の位置に狂いが出たり、かぶり不足になったりする恐れがある。それらを防ぎ、所定通りの強度を得、構造物の耐久性を確保するためにスペーサーが使用される。
スペーサーは鉄筋コンクリート内に埋没して構造物の一部となるため、スペーサーの材質・形状・寸法は、場所や目的に応じて適切なものを使用する必要がある。
国土交通省や各都道府県の『土木工事共通仕様書』『公共建築工事標準仕様書』、各地方整備局の『土木工事共通特記仕様書』などでは、鉄筋のかぶりを確保するために、スペーサーの使用とともに材料や使用量等が定められている。
スペーサーの選定や配置の検討におけるガイドラインとして『コンクリート標準示方書[施工編]』(土木学会)、『建築工事標準仕様書』(日本建築学会)がある。また『鉄筋工事用スペーサ 設計・施工ガイドライン』(日本土木工業協会、1994)には選定条件、耐荷力の評価方法、設計・施工・技術指針などがまとめられている。
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